『詩集あかとんぼ』より

あがとんぼ (下北弁訳)

2004年7月、作者の大橋さんから翻訳の依頼を受けて訳したものです。大橋さんは、私以外にも東北各地の方々に依頼して「あかとんぼ」を翻訳してもらい、2004年12月に18遍の翻訳詩を集めた詩集「あかとんぼ」を作られました。

あがとんぼ(下北弁訳) (mp3ファイル)

訳   Akemi 
朗読 ボヤッキー 

 

あがとんぼば煎じで飲めばだっきゃ
かんぜふがねんだづ

くんずぃおぢでまった
コンクリトの壁っこ あるやげあどで
だいさしかへらいだんだがさ
なんもかも捕りしんで捕ったのばおべでる
 
ガラスだのブリキのかげらばよ ほっくり返して
あめで かせいでらったわいど
あの日あき地づあき地さ
あがとんぼばりずっぱりどいだったぃのぉ
 
つやーつやどしたしっぽ
きらーきらづはねっこ
ふんむしてまったにぐ
おにやんま よろごんばへでのぉ
 
トッチャやいで カッチャばやいだ炎
還ってきたゆうやげ
 
ふぐろさつめだべが
そいともかごさへれだんだべが
なんもかも捕りしんで捕ったあがとんぼの始末だっきゃ
おんぼいでいねおん

(改稿版 2004.12)

「あかとんぼ」(原詩) 

大橋晴夫



 あかとんぼを煎じて飲むと
 かぜをひかない

 くずれおちた
 コンクリートの壁のあるやけあとで
 だれに教えられたのか
 捕みあさったのを覚えている
 
 ガラスやブリキの破片を掘り返しては
 あめ代をかせいでいた僕ら
 あの日あき地というあき地には
 あかとんぼだけが豊富だった

 つやのあるしっぽ
 きらめくはね
 むしりとったにくは
 おにやんまをよろこばせ

 父をやき母をやいた炎が
 還ってきたゆうやけ

 ふくろにつめたろうか
 それともかごにいれたろうか
 捕みあさったあかとんぼの始末を
 覚えてはいない



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